ワインバーグのシステム行動法

ワインバーグのシステム行動法 ソフトウェア文化を創る (3)
で、そのワインバーグのシステム行動法(ASIN:4320027086)ですが、私は興味深く読めました。この本は「ソフトウェア文化を創る」四部作の第三巻なのですが、ぱっと見て内容が面白そうだったため私はこの本から最初に読みました。特に第三部「適合的管理を達成する」は読みごたえがあります。「非適合性の中毒を治療する」「追従の中毒をやめさせる」「非難の中毒をやめさせる」「他者とかかわる」目からウロコの文章が詰まっています。以下は本文からすこし引用します。

「6.7 適合的管理者が行うこと」より

リーダーシップとは、問題解決に創造的に貢献できるように、すべての人を有能にする環境を創造する能力である

このモデルでは、管理者の仕事は一つのそしてただ一つの手段によって評価される。すなわち、管理される人びとの成功である。ここで「人びとの成功」であって「プロジェクトの成功」ではないことに注意してもらいたい。プロジェクトの成功は人びとの成功の構成要素かもしれないが、おびただしい病気や崩壊した家庭や精神的な燃えつきなどは、私の考えている「人びとの成功」ではない。

「14.2.1 非難の痛み、認識の痛み」より

非難の中毒を避けるのに最初に必要なことは、誤りを犯すかもしれないという恐れの対処にはまた別の方法があるという知識である。一般的には、批評は、非難や罰としてではなく情報として与えられたほうがもっと受け入れやすい。
まず、誤りを犯したと知るのは痛みであることを否定しないようにしよう。適合性は人生が痛みから自由であることを意味しているわけではないが、バージニア・サティアによる2種類の痛みの区別を利用しよう。つまり、非難の痛みと認識の痛みである。非難の痛みは、判断される感情と不適切とみなされる痛みである。認識の痛みは、単に新しい情報を獲得するコストである。

ペアプログラミングも、継続的な痛みを伴うプラクティスだからこそ、受け付けないという人もいるのだと思います。せめてその痛みが非難の痛みではなく、認識の痛みであればと思います。相手に情報、特に否定的な情報を伝えなければならないときに、どうやって非難せずに相手に認識してもらうか。私が「コーチング」を勉強してみようと思った理由の一つです。