分厚い本を切る

奥義三分割の図


『アジャイルソフトウェア開発の奥義』『プログラムデザインのためのパターン言語』は分厚く重い本です。持ち歩くだけで疲れてしまい、読む頻度も落ちてしまいがちです。しかしせっかく買ったのに、重いというだけで読まなくなるのは何か損です。

私は、こういう本は思い切ってナイフで分割してしまいます。これで本の重さという物理的な制約から解放されます。たとえば『アジャイルソフトウェア開発の奥義』は三冊に分割すると重さは『UMLモデリングのエッセンス』ぐらいになり、持ち歩くのが苦になりませんし、電車の中でも読めるようになります。先日の読書会にも「上巻」だけ持って行ったので、なかなか快適でした。

また、よく読む部分だけを持ち歩けるという利点もあります。『パターン言語』は第一部をよく読みますし、『奥義』は第一部、第二部をよく読みます。これらだけを持ち歩けば十分という場合がよくあるのではないでしょうか。


以下私が本を分割する際の手順を説明します。

0. 用意するもの

  • ナイフ
  • 製本テープ(私が使っているのはニチバンの製本テープです)
  • ヤスリ
  • 新聞紙(またはカッター台の役目を果たすもの)

1. 何分割するか方針を決める

まず本を何分割するか方針を決めます。私の場合は『UMLモデリングのエッセンス』ぐらいの厚さにすることが目的なので200〜300ページ一組くらいにします。構成に沿って分割するのがいいと思います。たとえば『パターン言語』は三部構成なので一部ずつ三分割しました。

2. ページを思いっきり開き背表紙に癖(折り目)をつける

ナイフで切るための折り目を背表紙に入れていきます。単に思いっきり開いて折り目をつけるだけです。まだ後戻りできます。

3. ナイフで背表紙だけ慎重に切れ目を入れていく

最終的な分割点を判断するため、背表紙だけに切れ目を入れます。ナイフの先でこするように背表紙だけを削ってゆきます。後戻りは出来ないので慎重に。

4. 出てきたページの束を見定め、一束を尊重するか内容を尊重するかを選択する

背表紙を切断すると中から16p〜8pが一組になっているページの束が出てきます。ここで迷うのは、本の内容とページの束が一致していないことです。内容に沿って分割するとページの束を途中から切断することになってしまい物理的に弱くなります。逆にページの束を基準に分割すると今度は内容が途中で分断され中途半端になってしまいます。
ここが思案のしどころです。私は大体の場合はナイフを入れた時点で腹をくくっているので内容に沿って分割します。つまりページ束の背にもナイフを入れていきます。ただうまく行かないときには途中で方針を変えることもあります。

5. 最後までナイフを入れる

ここまで来たら最後まで切ります。ただし一気に行くのではなく少しずつ丁寧に行ったほうが後悔せずに済みます。

6. 切断面にヤスリをかける

切断面がギザギザになりがちなので、ヤスリをかけます。切断面は弱くなっているので、慎重に行います。

7. 製本テープで製本

背表紙に沿って製本テープで止めます。製本テープは粘着力が強いので、ここも慎重に行います。


本は読んでナンボです。技術書は中古でも大した値では売れないようですし、読まずに置いておくなら分割して読んでもいいかもしれません。
ただし、ここで説明したことを行ってみるとしても、あくまで自己責任でお願いします。分厚い週刊誌で練習したほうがいいかもしれません。
ちなみに『アジャイルソフトウェア開発の奥義』は装丁の出来がよく、かなり苦戦しました。対照的に『パターン言語』はあっさり三分割できました。このあたりは本次第のようです。

私は自分自身を追い詰めるためにも、次は積読になったままのDomain Driven Designを分割しようかと思います。これで重いということが読まない言い訳に使えなくなりますね(^^;)