後で書く。書き途中…
朝
起床後、前日の懇親会で酒(とタバコの副流煙)の中にいたので、喉を痛めていることに気付く。のど飴で回復に努める。喉を痛めないようにエアコンを切っていたのでまだマシかもしれない。
自分のセッションのプロットを書いた紙を印刷して山手線の車内で読む。山手線車内の占いをなんとなく見ていると、天秤座は2位で「協力者が現れて物事が上手くいくでしょう」的な内容。
二日目は私が企画したセッションが目白押しで、期待と緊張が混ざっている。
午前一コマ目
ホペさんや奥地さんのコマを覗きたかったのだけど、直後のコマの木下さん、そして午後のレガシーコードのセッションの 川西さん 、大中さん(a.k.a せとあずささん)が控え室にいたので、いろいろと話すために控え室に留まる。
講演をお願いしている id:cactusman が隣の部屋(講師控え室は二つある)にいることが Twitter で分かったので、挨拶と確認に行く。
資料の最終仕込みを行っていたので、何点かアドバイスをさせてもらってから隣の部屋に戻った。しばらくして id:cactusman も同じ部屋にやってきて、資料の仕込みを続けた。集中しているようなので、邪魔しないでおく。
午前二コマ目
講師控え室に咳さんが来る。咳さん、レガシーコードチームと引き続き打ち合わせした後、木下さんのセッションの中盤から忍び込む。後から咳さんも木下さんのセッションにやってくる。最後列で手元の iPhone になにやらメモしていた。バスタブモデル*1の絵や、印象に残った言葉などをメモしていた模様。
木下さんのセッション(【13-E-2】アート・オブ・アジャイル デベロップメント 〜テストが駆動するビジネス価値〜)は私が企画したセッション第二弾で、発売したばかりの『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』を下敷きにして、テストを絡めた話をしてくださいと依頼をしていました。
アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: James Shore,Shane Warden,木下史彦(監訳),平鍋健児(監訳),笹井崇司
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: 大型本
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木下さんプレゼン上手いなぁ。上手いというのは、闊達とか鮮やかとかそういうものではなくて、わかりやすい資料、話すペース、じんわりと心に伝わるような語り口などが絶妙。
木下さんはテストの話だけを切り出すのではなく、アジャイルプロセス全体の中でのテストの役割にまで言及していた。これは頷ける話で、『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』は実は XP の本であり、XP を(実践面で)機能させるポイントは、各プラクティスの相補関係(パターンランゲージといってもいい)を意識することだと考えています。
木下さんのセッションでは
- 「腹を括った」
- 「目の前の困っている人を助けたい」
の二言を心に刻んだ。
昼ご飯
今日は時間が勿体ないので控え室で雅叙園クオリティのお弁当を食べた。お弁当を食べつつ咳さんと話を続ける。
午後一コマ目
私が企画したセッション第三弾、id:cactusman による「【13-E-3】Hudson によるインクリメンタルな開発」の時間…なのだけど、いろいろ確認事項があって、オープニングは見にいけず。
昨日と同じ和服に着替える時間になったが、今日は着付けをしてくれる人がいない。河村さん、安井さんに手伝っていただき、ようやく着ることが出来ました。ありがとうございます。私一人では無理でした。
ちょっとだけ空き時間が出来たので、 Hudson セッションに移動して最後列で見る。Hudson の画面のスクリーンショットを背景に壇上を歩き回って説明する id:cactusman が良い感じでした。
午後二コマ目
私が企画したセッション第四弾、書籍 『Working Effectively with Legacy Code』 読書会 による「【13-E-4】「レガシーコード」とはいったい!? 〜あなたも書いてるかもしれないレガシーコード〜」
…の時間だったのですが、見に行けませんでした。初期段階から打ち合わせを密にやってきた企画なので一番見に行きたかったセッションかもしれません。無念。
レガシーコード本のセッションは、 Working Effectively with Legacy Code 読書会の活動にて、『Working Effectively with Legacy Code』から我々が学んだものを改めて世に問いたいと考え、読書会のメンバー 大中さん、 川西さん 、 高橋(id:kunit) さん、中谷(id:n_shuyo) さんにお願いしました。
このセッションの内容は各所 blog の感想などを見るにとても良いセッションだったようで、誇りに思い、依頼して良かったと思うと共に、やっぱり自分でも見に行きたかったなという思いも持ったりするのでした。
Working Effectively With Legacy Code
- 作者: Michael Feathers
- 出版社/メーカー: Prentice Hall
- 発売日: 2004/09/22
- メディア: ペーパーバック
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- 本編の発表資料はこちら
- 中谷さんによる発表資料はこちら(読んでいるとなんか目から汗が出ます)
そのころ控え室では
今日最後の私のセッションの本格的な打ち合わせ開始。パネルの登壇者、太田さんの到着を待って、咳さん、太田さん、角谷さんと打ち合わせ。事前に作っておいた資料を土台にして、初日からこの時間まで暇を見ては咳さんとしゃべってきたことをちりばめていく。都度都度で咳さんのつっこみが入り、無駄が削られ、それを資料に反映し、というイテレーションを続ける。
午後三コマ目
咳さん、太田さん、角谷さんと打ち合わせを続ける
資料の最初のページに、「角谷信太郎(友情出演)」の記述を追加。
私は緊張で資料を何度も手直ししたり歩き回ったりしているけれど、咳さんと太田さんは全然緊張していないようで、うらやましい。
午後四コマ目
『モダン Perl』を買い、サイン会をしていた牧さんにサインを貰う。あと、机に置いてあった「週刊エンデワークス(ホップ・ステップ・エンデワークス)」も同時にもらってみた。なんぞこれww
各所の blog を見ていると、牧さんのセッションはテストの話満載だったみたいで、行きたかったなと思います。
サインして貰った『モダン Perl』はテストの章が非常に充実していて、読んでいて面白いです。
- 作者: 牧大輔
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/02/10
- メディア: 大型本
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そのころ控え室では
緊張が高まってきて会場をウロウロ。17:20 に声が掛かり、業務用エレベータ経由で裏手の通路から会場に入る。この通路を通るときに、デブサミでしゃべるという気分になってくる。去年との違いは、独演ではなく一緒に登壇する方がいるということ。話して気を紛らすことが出来るのは嬉しいなぁ。
午後五コマ目(本番)
ついに自分のセッション、「【13-E-7】パネルディスカッション:テストを行うこと、テストを続けること」の本番です。
まずはじめにお礼をさせてください。
- 魅力的なセッションが同時間帯に多かったにもかかわらず、会場にお越し下さった皆様、ありがとうございました。
- 大手企業にお勤めで日々忙しいにもかかわらず、登壇してくださった咳さんと太田さん、ありがとうございました。
- 急なお願いにもかかわらず、驚異のタイプ速度でロガーとなってくれた角谷さん、ありがとうございました。
当日までの思い
セッションの狙いは、かくたにさん が類推したとおりです。
咳さんのセッション、咳さんの言葉はなんというか抽象度が高く、核心のみをさらっと喋るスタイルなので、目の前を金言が高速で通り過ぎていく様を呆然と眺める、ということになってしまうこともあり得ます。
なんというか、もったいない。
咳さんに聞いてみたいことをやりとりするという機会、とっかかりを作りたい、という思いがありました。咳さんのなかでは当たり前になっていることでも、私たちにとっては驚くようなことかもしれない。聞き手のスピードに合わせ、かつ多くのことを聞き出したい。
ならば (疑似)パネル、公開インタビューのような形が面白いのではないか、という考えに至りました。
予め岩切さん、太田さんとブレストをして議論のたたき台を作成し、咳さんはデブサミ本番まで東京に来れないので、本番まではメールでやりとりをしました。書類とハンコの山をくぐり抜け、また登壇して貰うために、咳さんは(言葉には出されませんが)いろいろ苦労されたのではないかと思います。太田さんも太田さんで、某大手 SI の太田健一郎ではなく、私人、情報処理学会の太田健一郎として登壇して貰いました。ありがとうございます。
本番
講演直前にゼナを一気飲みしつつ、「壇上なう」をポスト(これらはイベントの度にやっているので半ば験担ぎのようなもの)。
気のせいか、去年より会場がよく見えます。
私が参加者の方々に持って帰って貰いたい、と考えていたのは以下の三点です
- 開発の*一部*として ごく*普通に*テストをする文化のチームはどういうものか
- テストは開発全体の一部であって、テストだけを云々しても意味がないこと
- 思考停止しないとはどういうことか
特に、咳さんから「思考停止しないとはどういうことか」を感じ取って欲しいという思いがありました。
当日のアジェンダは以下のように設定し、それらの中をブレークダウンした資料を作成。あとは資料の大まかな流れには沿いつつ、本番の勢いにのって喋りました(というか、喋りすぎました。すみません)。
- チームについて
- テストについて
- バグ管理について
- Q & A (咳に訊け!)
肝心の咳語録ですが、これは咳さん登壇の条件として、資料および講演内容の非公開という条件があり、残念ながら公開できません。
ただ、当日のロガーとなってくれた角谷さんが、咳さんの言葉の中で仕事内容に抵触しないものを抜き出してまとめてくれました。素晴らしいです。咳語録はこちら
総括、トラック設計の裏に流れるテーマ
今年の私のトラック設計のテーマは「現代ソフトウェア開発の三本柱」および「継続すること, 継続性(sustainability)」です。
現代ソフトウェア開発の三本柱とは、
- バージョン管理(Version Control)
- テスティング(Testing)
- 自動化(Automation)
の三つです。この三本柱のどれが欠けてもソフトウェア開発はなかなか上手くいきません。
去年のデブサミでも、テストサミットでも、壇上で三本柱について言及したと思います。
そして今年も「三本柱の鼎立*2」を啓蒙することが、私のミッションと考えました。
また、「継続すること、継続性」に関しても、特に私のパネルのセッションで意識しましたし、
結果的にはすべてのセッションで「続けること」や「残すこと」に関する関連があったのではないかなと考えています。
裏タイトル
ということで、(私の中で勝手に)各セッションに裏タイトルを付け、三本柱の要素を少し意識してセッション設計を行っていました。
セッション名 | 三本柱の要素 | 裏タイトル |
---|---|---|
【12-C-7】株式会社はてなの開発戦略 | 全部(特に Version Control) | From SVN to Git |
【13-E-2】アート・オブ・アジャイル デベロップメント 〜テストが駆動するビジネス価値〜 | 主に Testing | Testing as a vital part of Agile Development |
【13-E-3】Hudson によるインクリメンタルな開発 | 主に Automation | Pragmatic Project Automation with Hudson |
【13-E-4】「レガシーコード」とはいったい!? 〜あなたも書いてるかもしれないレガシーコード〜 | Testing | Unit Testing for rest of us - Working Effectively with Legacy Code |
【13-E-7】パネルディスカッション:テストを行うこと、テストを続けること | Testing, Automation | Continuous Planning and Testing, as a culture |
私が設定したテーマが参加された皆様に伝わったかどうかは、会場アンケートが教えてくれると思います。ドキドキしますが、楽しみでもあります。
コンテンツ委員として
今年はコンテンツ委員、つまり企画に関わる者としてデブサミに参加させていただきました。
社会情勢やその他いろいろなアクシデントが重なり、スタートが遅れたり、大変なことが色々ありました。
それでもこの規模で無料の(!)技術イベントとして開催できたことは素晴らしいことだと思いますし、翔泳社様の努力、労力は大変なものだったと想像します。本当に開催してくれてありがとうございますという気持ちです。
そしてなによりも、会場にお越し下さった皆様、ありがとうございました。
デブサミに関して言及した blog を読むたびに、とても手応えを感じています。
大規模イベントのセッションを企画するのがのがこんなにやりがいがあり楽しいものだとは想像していませんでした。
この文章を書いている時点でデブサミから一週間が経ちましたが、とても充実した気持ちです。
コンテンツ委員をやってみてよかった。セッションにお越し下さった皆様の顔と反応を見れて良かったとしみじみ感じています。
ありがとうございました。機会があれば、来年もやってみたいですね。